人気ブログランキング | 話題のタグを見る

下仁田町自然史館日記

shimogeo.exblog.jp
ブログトップ

そうだ、荒船風穴へ行こう

毎日暑い日が続きますね
自然史館の職員も毎日汗だくになりながら働いています

建物から一歩外に出れば、
日陰にいても、グリーンカーテンのそばでも、朝でも、夜でも…
どこにいても

暑い!

あついあついあついあついあついーー!!!!!

近頃は、避暑地と言われる軽井沢でも昼の気温は30度近くになるようです
もう、外に出たら涼しいところはどこにもないのか…

いいえ、そんなことはありません

涼しいところ、あります!!!

そう、荒船風穴です!


○荒船風穴とは?

 荒船風穴は、明治38年、地元の養蚕農家の庭屋静太郎により建設された蚕種貯蔵施設です。
 長野県を発祥とする天然の冷風を利用した風穴技術を研究し、日本で最大規模を誇る貯蔵施設として運営され、日本全国を相手に事業を展開しました。
 現在でも操業当時と変わらぬ冷風環境が維持され、肌を通じて史跡を体感することが出来る珍しい史跡です。
(下仁田町ホームページから引用)

そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_914448.jpg

写真で、白く見えているのが、噴き出した冷風です

冷風と言ったって、どうせたいしたことないんでしょ?
と思うかもしれません

しかし、荒船風穴から吹き出す冷風の温度は夏でも2℃程度

周辺の気温も20℃前後となっています

こんな素晴らしい場所が下仁田にあっただなんて…

しかしなぜ、荒船風穴は夏でも冷風が出るのでしょうか?

自然史館では、風穴で冷風が吹き出す仕組みの実験を行いました


○実験してみよう!

水槽の中に風穴の地形を再現します
そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_10423729.jpg

ここに色のついた水を落とすと…

色のついた水が斜面を下っているのがわかるでしょうか?

この斜面を下る流れこそ、風穴の冷風を生み出す流れです

では、どうして水は斜面を下っていくのでしょうか?

それは、実験で斜面を作っている板に仕掛けがあります

板をよく見ると保冷剤がついています
そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_10430737.jpg

この保冷剤が斜面を下る流れを作るポイントです

斜面の近くの水は保冷剤によって冷やされます
冷やされた水は、周りの暖かい水よりも重たいので斜面を下へ降りていくのです
そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_915528.png



実験で風穴の冷風が吹き出す仕組みはわかりましたね
では実際の荒船風穴はどうなっているのでしょう?


○風穴周辺の地形はどうなっている?

荒船風穴がある場所は、山の斜面の中の地すべりで崩れた岩石の上です
そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_9153173.png


崩れている岩石は溶岩が固まったもの
溶岩はかたくて丈夫なので、崩れている岩石は大きな岩塊になっています

つみあがった大きな岩塊の間には隙間がたくさんあります

この、岩塊の隙間や岩塊の下には、冬に降った雪や氷を長い間保存しています

冬の間にため込んだ氷が空気を冷やし、風穴の冷風を作っているのです
そうだ、荒船風穴へ行こう_d0183598_9205482.png



○荒船風穴はこんなにすごい!

夏でも冷風を生み出すためには、夏まで氷を保存していなければいけません
斜面が急すぎると、どんどん空気が流れるのですぐに氷がなくなってしまいます

しかし、緩やかすぎても、空気の流れができず、冷風が出ません

地形や地質、気候条件など様々な条件の絶妙なバランスのおかげで
日本で最大規模の荒船風穴ができているのです
by shimonitageo | 2015-08-11 09:21 | ジオパーク推進